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GenshinData-1/Readable/JP/Wings140008_JP.txt
2021-07-19 14:05:01 -03:00

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Plaintext

「天狗って言うのはね、歴史の長い影向の天狗一族以外に、身のこなしの素早い人間や、神出鬼没な人間を指すこともあるんだよ。ほら、天狗にも翼があるでしょ」
本当かなぁ。
「『天狗』と呼ばれるには、まず空中で自在に飛べること。貴殿は稲妻全域で風に乗り、屋根を走り、壁を登った。その身軽さは、カラスやハヤブサにも負けないだろう」
「その昔、稲妻にも天狗に憧れ、天狗の真似をする『天狗党』がいたのだ。天守閣の屋根の上や、高い杉の木の上、鳥居の上、などなどから、下にいる民衆や役人を高笑いし、さらに稲妻中を震動させた『天守閣下天狗落書き』を御苑に残したそうだ。不敬極まりない」
「自由すぎる人たちだった。その後、その人たちは本物の天狗に捕まり、こっ酷く叱られたらしい」
「ああ、でも、あなたはちゃんと公序良俗を、法を守る人だ。この伝説を気にする必要なないね」
よく風の翼を広げて町を俯瞰したり、石垣や高い壁を登ったりしたが、余計なことは言わないでおこう。
「それから、天狗というのは、剣術に長けた剣客を呼ぶ時もあるんだよ。鳴神直伝の流派と、伝説となった『霧切』と『明鏡止水流』、まだ伝承されている『岩蔵流』などがある。岩蔵剣術には門外不出の秘剣『天狗抄』がある。剣筋が読めない、ものすごく速い影向天狗にも勝てる剣術らしい。貴殿の腕と戦果は、言うまでもないだろう」
「最後にね、天狗は風や雷を操る術を持っている。影向の天狗が代々伝わる宝器の中には、『風雷の扇』というものがあるらしい。表は風を呼び、裏は雷を呼ぶ。貴殿が風元素も雷元素も操れて、まさに天狗と称されるに相応しい人物だ!ちなみに、風雷の扇子はただの目くらましだ。バレないように、風を呼べる天狗と雷を呼べる天狗は良くつるんで出かけるのだ」
隣にいる裟羅のほうが気まずそうだ。
「貴殿の稲妻への貢献を讃えて、この風の翼を贈呈します」
もしかして、天狗の翼もこうやって……?
疑いの眼差しに気付いた裟羅はすかさず答えた。
「違うに決まってるでしょ!」