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浅田村の地形は三日月の形をしている。
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低地に入ってすぐ、新九郎はそこに目をつけた。
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十分な人数を集めて高所から待ち伏せできれば、長い移動で疲れた敵を向かい打てる。村人の人数は山賊より多い。包囲することは不可能ではない。
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だが問題は、山賊を谷に誘い込むには、誰かに囮になってもらわなければならない。長く乱世に苦しみ、今も幕府の過分な徴収に苦しんでいる村人たちは、皆保身に慣れてしまった。どうしたら大勢のために自分を差し出すことができるだろう。
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それだけれではない。戦乱時代の軍隊なら、火攻めが定石。谷の中で火を起こせば、大きな打撃を与えられるだろう。
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しかし、今自分が率いているのは村を守ろうとする農民たちだ。自分たちの家や食糧を燃やすなんて……その気持ちはわかるが、徹底的に山賊を殺傷できなければ、待つのはさらなる報復だけだ。
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新九郎は思い耽て、黙ってその場に座り込んだ。 |